養育費の基本ルール(いつからいつまで、なぜ必要か)

離婚の際、お子さんのために決めるお金として「養育費」があります。

養育費は、離婚した相手(親権を持った親)に支払うお金ではなく、子どもが社会人として自立するまで健やかに成長するために使われる、「お子さんのためのお金」です。

親権を持つか持たないかに関わらず、子どもを扶養する義務(生活保持義務)は両親にあります。したがって、親権を持たなかった親も、自分と同じ水準の生活を子どもができるように、養育費を支払う義務を負います。

このページでは、養育費の「いつから、いつまで?」という基本的なルールと、何が含まれるのかについて解説します。


1. 養育費は「いつから」もらえる?

養育費は、「過去に遡って請求する」のが非常に難しいお金です。

原則として、「養育費を請求した時点」から支払いの義務が発生します。 「離婚(別居)した時に決めていなかったから、とりあえず過去3年分をまとめて請求する」といったことは、相手が合意しない限り認められません。

「請求した時点」とは、具体的には以下のような時です。 ・離婚調停を申し立てた時 ・内容証明郵便などで相手に請求の意思を明確に示した時 ・話し合い(協議)で「養育費について話し合おう」と持ちかけた時

離婚と同時に、あるいは別居後すぐにでも、養育費についての話し合いを始めることが重要です。


2. 養育費は「いつまで」もらえる?

養育費をいつまで支払うか(もらえるか)は、法律で明確に「何歳まで」と決まっているわけではありません。 最終的には、父母の話し合い(合意)によって決まります。

一般的には、子どもが「社会人として自立するまで」と考えられています。

1. 「20歳」までが一般的

民法改正により、成人年齢は18歳に引き下げられましたが、家庭裁判所の実務では、現在も「満20歳に達する月まで」を終期とすることが一般的です。 これは、18歳で高校を卒業しても、すぐに経済的に自立するのが難しいケースが多いためです。

2. 「大学卒業」までと決めるケース

「20歳まで」が一般的ですが、父母の学歴や収入、子どもの希望などを考慮し、「大学卒業まで」と決めるケースも非常に増えています。 この場合は、離婚協議書や公正証書に「満22歳に達した後の3月まで」などと具体的に明記します。

3. 高校卒業(18歳)まで

経済的な事情などで、「高校卒業まで(満18歳に達した後の3月まで)」と決めるケースもあります。

いつまでにするかは、離婚時の取り決めで決まります。口約束ではなく、必ず「離婚協議書」や「公正証書」に、「いつまで」支払うのかを明確に記載しておくことが不可欠です。


3. 養育費には何が含まれる?

養育費には、子どもが自立するまでに必要な、あらゆる費用が含まれます。

・衣食住の費用 ・健康医療費(医療費、保険料など) ・教育費(公立学校の学費、教材費、塾代など) ・一般的なお小遣いや娯・・・楽費

いわゆる「生活費全般」が含まれます。 現在の養育費の相場は、これらの費用をすべて含んだ上で、双方の収入に応じて算出されています。

ただし、大学の入学金や私立学校の学費、海外留学費用、大きな病気や手術の費用など、「特別な費用」については、通常の養育費とは別枠として、その都度協議する(話し合う)と決めておくことが多いです。


まとめ(次のステップ)

養育費は、親権を持たない親から子どもへの「義務」であり、子どもの「権利」です。 「いつから」「いつまで」支払われるのかというルールを理解したら、次のステップは「具体的にいくらもらえるのか(相場)」を知ることです。

次の記事では、裁判所が使っている「算定表」を基にした、具体的な計算方法について解説します。

→ 詳しくは「養育費の相場と計算方法」の記事で解説します。 → 決まった内容は「養育費と公正証書の作り方」で確認しましょう。