養育費の相場と計算方法【裁判所の算定表を使ったシミュレーション】

前の記事で、養育費は「子どものための権利であり、親の義務」であることを解説しました。 では、養育費は具体的に「いくら」請求できるのでしょうか。

かつては明確な基準がなくトラブルになりがちでしたが、現在は、裁判所が公開している「養育費算定表(よういくひさんていひょう)」を用いて、客観的に相場を計算するのが一般的です。

このページでは、養育費の相場と、この「算定表」の具体的な見方・計算方法について、シミュレーションを交えて解説します。


1. 養育費の相場を決める「養育費算定表」とは?

養育費算定表とは、東京と大阪の裁判官が研究を重ねて作成し、裁判所が公開している「養育費の標準的な金額」を簡単に算出するための表です。

家庭裁判所での離婚調停や裁判では、原則としてこの算定表を基準にして養育費の金額が決定されます。そのため、夫婦間の話し合い(協議)においても、この算定表の金額を相場として交渉するのが最も合理的です。

この算定表は、インターネット(裁判所のウェブサイトなど)で誰でも見ることができます。

2. 算定表を見るために準備する「3つの情報」

算定表を見る前に、以下の3つの情報を準備する必要があります。

  1. 支払う側(非監護親)の年収
  2. もらう側(監護親)の年収
  3. 子どもの人数と年齢

「年収」については、サラリーマン(給与所得者)なら「源泉徴収票の総支給額(税引前の額面年収)」、自営業者なら「確定申告書の所得金額」が基準となります。

3. 【実践】算定表の見方とシミュレーション

算定表は、子どもの人数と年齢によって、複数の表(9種類)に分かれています。 ご自身の状況に最も近い表を選び、縦軸(支払う側=義務者の年収)と横軸(もらう側=権利者の年収)が交差するマス目を見る、という使い方をします。

例: ・子どもの人数:1人 ・子どもの年齢:5歳(0〜14歳) ・支払う側(夫)の年収:500万円(給与所得者) ・もらう側(妻)の年収:200万円(給与所得者)

この場合、「表1 養育費・子1人表(子0〜14歳)」を使います。

  1. 夫(義務者)の年収「500万円」を、表の縦軸で見つけます。
  2. 妻(権利者)の年収「200万円」を、表の横軸で見つけます。
  3. 双方の線が交差するマス目を探します。

このケースの場合、交差するマス目は「4〜6万円」の範囲になります。 したがって、この夫婦の場合の養育費の相場は「月額4万円〜6万円」であると分かります。

これが基本的な算定表の見方です。


4. 算定表の「年収」に関する注意点

算定表を使う上で、最も間違いやすいのが「年収」の捉え方です。

<h4>給与所得者(サラリーマン・パート)の場合</h4>

「源泉徴収票」の「支払金額」(税金や社会保険料が引かれる前の総額)を見ます。

<h4>自営業者の場合</h4>

「確定申告書」の「課税される所得金額」(経費などを引いた後の金額)を見ます。

給与所得者と自営業者では、見るべき「年収」の基準が異なるため、注意が必要です。


5. 算定表の金額は「絶対」か?

算定表の金額は、あくまで「標準的な公立学校に通う子ども」を想定した目安です。

したがって、以下のような「特別な事情」がある場合は、算定表の金額を基準にしつつ、話し合いによって増額・減額を交渉することが可能です。

・子どもが私立学校に通っている、または通う予定がある ・子どもが大きな病気や障害を持っており、高額な医療費がかかる ・子どもが習い事や塾などで、特別な教育費がかかっている

これらの費用をどう負担するかは、算定表の金額とは別枠で、話し合いで決める必要があります。

まとめ

養育費の金額は、感情的に「いくら欲しい」「いくらしか払えない」と交渉するのではなく、まずはこの「養育費算定表」という客観的な基準に当てはめて、お互いの相場観を一致させることが重要です。

算定表の見方がわからない、相手が収入を教えてくれない、私立の学費も請求したいなど、計算や交渉が難しい場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

→ 詳しくは「専門家を探す」カテゴリで解説します。 → 金額が決まったら「養育費と公正証書の作り方」で確認しましょう。