なぜ日本と海外で判断が分かれた? 福原愛さんの事例から学ぶ「国際離婚」と「共同親権」の落とし穴

元卓球日本代表の福原愛さんと元夫との間での親権をめぐる問題が、先日「和解」という形でようやく決着し、大きなニュースとなりました。

お二人の離婚(2021年)後も、子供の親権や引き渡しをめぐって双方の主張が対立。日本国内だけでなく、海外の裁判所も巻き込む事態に発展しました。

「なぜこんなに複雑になってしまったのか?」「共同親権とは?」と疑問に思った方も多いでしょう。

今回は、この事例から「国際離婚」の難しさと、日本と海外の「親権」に対する考え方の違いについて解説します。

なぜ「国際裁判」にまで発展したのか?

今回のケースが複雑化した最大の理由は、当事者がそれぞれ異なる国(日本と台湾)に住み、どちらの国の法律を適用するかで争いになった「国際離婚」であった点です。

1. 「共同親権」が主流の海外

福原愛さんの元夫が住む台湾を含む、欧米諸国など多くの国では、離婚後も父母がともに親権を持つ「共同親権」が主流です。

2. 「単独親権」が原則の日本

一方、これまでの日本では、離婚後は父母のどちらか一方が親権を持つ「単独親権」が原則とされてきました。(※2024年に法改正の動きがありましたが、施行は先です)

福原愛さんのケースでは、離婚時に「共同親権」とすることに合意していたと報じられています。しかし、その後、元夫側が「子供が日本にいる(連れ去りだ)」として、国際的なルール(ハーグ条約)に基づき子供の引き渡しを求め、海外(台湾)の裁判所がそれを認める判断を下しました。

対して、日本の家庭裁判所は、元妻側(福原愛さん)を親権者と指定する判断を下すなど、国によって司法判断が分かれる複雑な事態となりました。

「国際離婚」で必ず知っておくべきリスク

日本人同士の離婚であれば、日本の法律(単独親権)のもとで話し合いが進みます。 しかし、夫婦のどちらかが外国籍であったり、海外に居住していたりする場合、以下のリスクが発生します。

  • どちらの国の法律で離婚手続きを進めるかで、財産分与や親権のルールが全く変わってしまう。
  • 合意なしに子供を自国に連れて帰ると「不法な連れ去り(誘拐)」とみなされ、ハーグ条約に基づき、子供の返還を命じられる可能性がある。
  • 相手の国の裁判所で、自分に不利な判決(慰謝料や養育費)が出されるリスクがある。

日本の「親権」はどうなる?

今回の事例は、「単独親権」を原則としてきた日本社会にとっても大きな問題提起となりました。 (※参考:2024年5月、日本でも離婚後の「共同親権」を選択可能にする民法改正案が成立し、今後数年以内に施行される予定です)

今後、日本でも「共同親権」が導入されると、離婚後も父母双方の合意がなければ、子供の進学や引っ越し、医療行為などを決められなくなる可能性があります。

まとめ:離婚時の「取り決め」が何より重要

国際離婚でなくとも、親権や養育費、そして「面会交流(離婚後に子供と会う権利)」は、離婚時に最も揉めやすいポイントです。

特に子供の問題は、離婚後も何年、何十年と続きます。

「言った」「言わない」の争いを防ぎ、子供の将来を守るためにも、離婚時に取り決めた内容(親権者をどちらにするか、養育費はいくらか、面会交流の頻度やルールなど)は、必ず「離婚協議書」や「公正証書」といった法的な書面に残しておくことが不可欠です。