「今の養育費じゃ足りない…」物価高騰で養育費の“増額請求”は可能? 2025年最新の養育費事情と交渉のポイント

2024年頃からの物価高騰(インフレーション)が、私たちの生活を直撃しています。食品や光熱費、子供の学用品など、あらゆるものの値段が上がり、家計を圧迫しているご家庭も多いでしょう。

この影響は、離婚して養育費を受け取っている(または支払っている)ご家庭にとっても深刻です。

「離婚時に決めた養育費では、今の物価高に対応できない」 「子供の進学で想定以上にお金がかかる」

こうした声が急増しており、「離婚の窓口」にも「養育費の増額」に関するご相談が寄せられています(※という想定で記述しています)。

一度決めた養育費は、本当に変更できないのでしょうか? 今回は、物価高騰などを理由にした「養育費の増額請求」の可否と、その交渉のポイントについて解説します。

結論:養育費の増額(減額)請求は「可能」

まず結論から言うと、一度取り決めた養育費であっても、後から増額(または減額)を請求することは法律上可能です。

法律(民法)では、離婚時に決めた養育費の額が、その後の「事情の変更」によって不相当となった場合、その変更を求めることができるとされています。

「事情の変更」とは何を指すのか?

ここで言う「事情の変更」とは、主に以下のようなケースを指します。

1. 養育費を受け取る側(子供)の事情

  • 子供が私立学校に進学・留学することになった
  • 子供が大きな病気や怪我をして、高額な医療費が必要になった
  • 物価の著しい高騰により、実質的な生活費が大幅に増加した(※今回のケース)

2. 支払う側(親)の事情

  • 支払う側の収入が、離婚時より大幅に増加した(転職、昇進など)
  • (逆に、支払う側が失業や病気で収入が激減した場合は「減額」の理由になります)

3. 受け取る側(親)の事情

  • 受け取る側の親が病気や失業で収入が減り、子供を養うことが困難になった

今回の「物価高騰」は、これらの中でも特に「子供の生活費の増加」という点で、増額を求める正当な理由の一つとして認められる可能性が高まっています。

最新の「養育費算定表」と物価高騰

離婚の調停や裁判で養育費を決める際、裁判所は「養育費算定表」という基準を用います。この算定表も、社会情勢の変化(物価や給与水準)に合わせて、数年おきに見直されてきました。

しかし、現在の算定表(2019年改定版)が作成された時期と比べ、2025年現在は明らかに物価が上昇しています。 そのため、現在の算定表の基準額では「子供の生活を維持するのに不十分」であるという議論が専門家の間でも起きており、裁判所の判断も柔軟になってきている傾向があります。

養育費の増額を求める「3つのステップ」

「増額してほしい」と一方的に伝えても、交渉はうまくいきません。必ず以下のステップを踏んでください。

ステップ1:まずは「協議(話し合い)」

いきなり調停を申し立てるのではなく、まずは相手(元配偶者)に連絡を取り、物価高騰で生活が苦しいこと、子供の教育費が増加していることなどを具体的に伝え、増額の話し合いを申し出ます。

ステップ2:家庭裁判所の「調停」

話し合いで合意できない場合や、相手が応じてくれない場合は、家庭裁判所に「養育費増額請求調停」を申し立てます。調停委員が間に入り、双方の収入や事情を聞き取り、妥当な金額での合意を目指します。

ステップ3:最終手段としての「審判」

調停でも合意に至らない場合、自動的に「審判」という手続きに移行します。裁判官が、双方の提出資料(収入証明、家計簿、物価上昇のデータなど)に基づき、増額を認めるか、いくらが妥当かを判断(決定)します。

まとめ:交渉には「証拠」と「公正証書」を

物価高騰を理由とした養育費の増額請求は、正当な権利です。 しかし、それを実現するには「なぜ増額が必要なのか」を客観的に示す証拠(家計簿、学費の請求書など)が不可欠です。

そして、もし増額で合意できた場合は、その内容を必ず「公正証書」などの法的な書面に残してください。口約束だけでは、将来的に支払いが滞った場合に対処できなくなってしまいます。