離婚慰謝料の相場はいくら?原因別の金額と具体的な請求方法

前の記事で、慰謝料は「相手の不法行為(浮気やDVなど)によって受けた精神的苦痛に対する賠償金」であり、請求できるケースとできないケースがあることを解説しました。

では、慰謝料を請求できるとして、具体的に「いくら」請求できるのでしょうか。また、「どうやって」請求すればよいのでしょうか。

このページでは、離婚慰謝料の具体的な相場と、請求するための3つのステップについて詳しく解説します。


1. 離婚慰謝料の相場はどれくらい?

慰謝料には「定価」がありません。法律で金額が決まっているわけではなく、最終的には夫婦の話し合いや、裁判所の判断で決まります。

ただし、過去の裁判例などから蓄積された「相場」は存在します。 離婚慰謝料の一般的な相場は、50万円 〜 300万円程度 と言われることが多いです。

この金額は、以下のような様々な事情を考慮して決定されます。

・離婚原因(浮気、DVなど)の悪質性 ・精神的苦痛の大きさ ・婚姻期間の長さ(長いほど高くなる傾向) ・子どもの有無 ・支払う側の経済力(資力) ・請求される側の反省の度合い


2. 原因別の慰謝料の相場

慰謝料の金額は、原因によっても大きく変動します。

不貞行為(浮気・不倫)の場合

相場:100万円 〜 300万円程度

不貞行為が原因で離婚に至った場合、慰謝料は高額になる傾向があります。 不貞行為の期間が長い、回数が多い、浮気相手が妊娠した、などの事情があれば、さらに高額になる可能性があります。 (なお、離婚せず、夫婦関係を継続する場合の慰謝料は、50万円〜100万円程度が相場です)

DV(身体的暴力)・モラハラ(精神的暴力)の場合

相場:50万円 〜 300万円程度

暴力や暴言の頻度、期間、悪質性、受けた怪我の程度、うつ病などの精神疾患を発症したかどうか、などによって金額が大きく変わります。 いずれの場合も、医師の診断書や暴言の録音データなど、客観的な「証拠」が非常に重要です。

悪意の遺棄(あくいのいき)の場合

相場:50万円 〜 200万円程度

正当な理由なく生活費を渡さなかった、一方的に家を出ていった、などの場合です。 遺棄された期間や、それによって受けた経済的・精神的苦痛の度合いによって判断されます。


3. 慰謝料を請求する3つのステップ

慰謝料を請求する方法は、離婚の進め方(協議・調停・裁判)と連動しています。

ステップ1:協議(話し合い)で請求する

まずは夫婦間の話し合いで慰謝料の支払いについて合意を目指します。 相手が不法行為(浮気など)を認め、金額にも合意してくれるのであれば、これが最も迅速で精神的な負担も少ない方法です。

この際、口約束で終わらせず、必ず「離婚協議書」や強制執行力のある「公正証書」に合意内容を記載することが重要です。

もし相手が話し合いに応じない場合は、「内容証明郵便」を送付して請求の意思を明確に示すこともあります。

ステップ2:離婚調停で請求する

話し合いがまとまらない、または相手が支払いを拒否する場合は、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てます。 調停はあくまで話し合いの場ですが、調停委員が間に入ることで、慰謝料の相場や証拠に基づいた冷静な話し合いが期待できます。

調停で合意した内容は「調停調書」に記載され、裁判の判決と同じ法的効力を持ちます。

ステップ3:裁判(訴訟)で請求する

調停でも合意に至らない場合は、最終手段として「離婚訴訟(裁判)」を起こします。 裁判では、慰謝料を請求する側(あなた)が、相手の不法行為(浮気やDV)があったことを客観的な「証拠」に基づいて立証しなければなりません。

証拠が不十分だと、裁判官に慰謝料の請求を認めてもらえない可能性もあるため、裁判に進む場合は弁護士への依頼がほぼ必須となります。


4. 慰謝料請求の注意点「時効」

繰り返しになりますが、慰謝料の請求権には「時効」があります。

・離婚が成立した日から「3年」 ・(不倫相手に請求する場合)不倫の事実と相手を知った時から「3年」

この期間を過ぎると、たとえ証拠が揃っていても請求できなくなってしまいます。「離婚後に落ち着いてから考えよう」と思っていると、手遅れになる可能性もあるため注意が必要です。

まとめ

慰謝料の請求は、感情的にならず、法的な相場と「証拠」に基づいた「交渉」として進めることが重要です。

ご自身のケースでいくら請求できそうか、どのような証拠が有効か、そしてどう進めるのがベストか、戦略を立てるためにも、一度専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

→ 詳しくは「専門家を探す」カテゴリで解説します。